一級建築士 / 伊藤公夫
可能な限り庇の深い建物をデザインしていきます。奥ゆきのある庇は雨と紫外線から外壁やコーキングを守り、建物をより永く美しいままに保ちます。また、夏の暑い日には室内に影を落し、冬の寒い日には室内に光を通し、室内温度を調整してくれます。雨の日も窓をあけて家中を換気しても安心です。建物デザイン自体が、省エネルギーにも繋がり、アフターメンテナンスにも有効です。
設備に頼りすぎない生活をお勧めします。とはいえ現代の生活に暖房・冷房機能はかかせません。窓はペアガラスを、断熱はウレタン吹き付け断熱を標準とする事で、断熱性能と換気効率を向上させ心地よい室内空間をつくり、温度調整に必要なエネルギーを最小限に抑えます。現代の建築資材を上手に使い、庇の水平のラインを通すデザインで伸びやかな外観と快適さを両立します。
間取りはなるべくシンプルな部屋の配置とし日当たりの良さを確保します。シンプルな動線は将来的な改修工事も可変性が高まり、変化するライフスタイルに対応できます。収納を十分にとる事で家の中で物が溢れることがない様にします。造りつけの収納を設ける事で見た目もすっきりしインテリアの統一感、高級感も演出します。 建具は手づくりのハイドアにこだわります。手に触れるものだから本物を。そして引き戸をメインとする事で日本人に合った間取りを実現します。
家族の繋がりや大切な思い出を育むお家では、内と外・家と庭の関係が大切です。自然は心を豊かにしてくれますし、家族や友人との一時を彩ります。だから建物の設計と庭の設計は同時に進めます。お施主様がまだ見ぬ部屋内からの景色を先に見て、ご提案する事が設計と考えます。